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Author:tetujin282828
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雲見 ダイビングインストラクター
”踊子は十七くらいに見えた。私にはわからない古風の不思議な形に大きく髪を結っていた。それが卵型のりりしい顔を非常に小さく見せながらも、美しく調和していた。髪を豊かに誇張して描いた、稗史的な娘の絵姿のような感じだった。踊子の連れは四十代の女が一人、若い女が二人、ほかに長岡温泉の印半纏を着た二十五六の男がいた。”(川端康成、伊豆の踊り子より)

どうせ伊豆のダイビングサービスに関連した記事を書くのだから、川端先生のような格調高い文学的な表現をしたいのだが、・・・・・・文才が無いっす。
さて、雲見のダイビングサービスには、この10月現在、カズさんを含めて6人のインストラクターがスタッフとして常駐しており、4~5名のゲストを一チームとして、多いときは40名にも上るゲストのガイドを担当している。

スタッフの中で、最古参は4月11日生まれのみほちゃん。笑顔がかわいい元気者の小柄な女性なのだが、「雲見」「田子」「須崎」どこでもガイドができる実力の持ち主らしい。それゆえ、彼女には常連のとりまきファンが多く、新参者のtetujinは常連客の外堀を埋めるに甘んじるしかない。

岩手県仙台市(!?)出身はトシ君。彼の出身地のことで笑わないようにと、カズさんからきつく釘を刺されている。前にも書いたが、彼は10月の連休明けにプーケットにあるダイブアジアに派遣されてもう日本にはいない。彼いわく、電波少年のように、3ヶ月あるいは1年のインターバルで突然の移動を命じられるらしい。そして、次の赴任地がどこになるのかは、神のみぞ知るとのこと。赴任先がタイ・リゾート、あるいは、西伊豆に限られており、ぼくから言わせればうらやましいの一言なのだが、「ロールプレーイングゲームの登場人物のよう」と明るく笑い飛ばす彼にしてみれば、胸中、複雑なところがあるのかもしれない。彼は、若い女性ゲスト担当。

ダイビングスタッフとして非常勤で羅針盤に通い始める前は、週末はバスケの審判として活躍していたという糸井さん。小太りフェチ、すなわち・・・・・・tetujinのボキャブラリーできちんと説明するのは難しいが、彼は明るい好青年だ。上級者から初心者まで、じつによく面倒を見てくれる。彼を見ていて、魚よりも人が好きなんだなと思ってしまう。どんなに疲れていても、夜遅くまでゲストに付き合って話相手になってくれる。しかも、下田ダイバーズのイントラたちは、ダイビングの前の晩は禁酒するという徹底的な安全管理のルール下にあるのだが、酔っ払ってハメをはずしているtetujinのたわごとなども、しらふのまま、まじめに聞き入れてくれる。

ゲストのチーム分けは、おおよそダイビングスキルによる(のだろう)。足を骨折していまだリハビリ中のtetujinは、女性らしい気配りに富む慶子さんの率いるチームに入れられている。いわゆる初心者クラスだ。彼女は、スキルの低いダイバーの引率を完璧にこなし、ダイバーが迷子になりやすい地形ポイントでは、必ず振り返ってゲストたちが幼稚園児のように付いて来ていることを確かめるし、フィンで10ストロークごと、すなわち、ゆっくりと10m進むごとに後ろを振り返って、ゲストの隊列に異状がないかを確認する。
水中であちこちカメラを向けるtetujinにとって、彼女のガイドはこの上もなく都合がいい。たまに、深みを泳いでいるチョウチョウウオを追っかけて隊列からはずれても、彼女はぼくをすぐに見つけてくれて、列に戻るのを待っていてくれる。マスク越しのアイコンタクトでにらまれはするのだが、彼女ほどゲストを水中でケアしてくれるガイドは未だ出会っていない。
おかげで、どんなに海底がダイバーで混雑していても、彼女のガイドでロストしたことはない。
言ってみれば、見えないロープで縛られた鵜飼の鵜みたいなものだろう。自由に魚を追っかけられるのだが、いずれ引き戻されて(ゲロさせられる?)

先日の10月の連休には、雲見に400人以上のダイバーが押し寄せた。下田ダイバーズも40人以上のゲストを迎え、インストラクターたちはてんてこ舞いだったようだ。そのせいか、初心者クラスだったぼくは、慶子さんのチームから人選に漏れ、同じくカメラ派の常連ダイバーの女性と2人で、前岡インストラクターのチームに入れられることになった。
実はこの昇格が問題だった。
無事に海中エントリーを済ませて、砂地を渡り、島のように突き出した根を右回りに旋回しようとしたときだった。
一緒に潜ったバディの女性が、砂地にカミソリウオ、あるいはフウライウオなどレアな魚を見つけたのかもしれない。彼女が砂地で魚を追っかけている間に、前岡氏とぼくは根を回ってその陰に隠れてしまった。
小さい根だから、すぐに抜け出ることができる。
根を通り過ぎた前岡氏が後ろを振り返り、彼女が付いてきていないことに気が付き、きょろきょろあたりを探し始めた。
彼女が魚を追っかけて遅れ勝ちなことを把握していたぼくは、根のをさらに回り込み、砂地の方向に進んで彼女を引っ張ってこようとした。
実はこの一連の行動は、ダイバーがやってはいけないことのオンパレードなのだ。
まず、バディシステムにおいて、ペアになったバディとは一緒に行動しなければならない。この場合、2人でロストするのが本当は正解なのだ。(多数決からすると、この場合、迷子になったのはイントラの方だと思うのだが、力関係でその事実を絶対に言ってはならない。)
次に、ロストした場合は、水中を絶対に探し回ってはならない。1分間、あたりを見回した上で、仲間を見つけられなかったら、頭上の安全を確かめてゆっくり浮上する。
安全停止を終えて水面に顔を出すと、そこで同じ手順で浮上した仲間と出会えることになる。
したがって、彼女を連れに戻ったぼくは、2重のロストのリスクを犯したことになる。

彼女を無事に回収できたものの、今度はぼくのロストが待っていた。ダイビング計画どおり、コースを回って浮上のポイントであるブイの近くまで来たときだった。後は、ブイのロープをたどってゆっくりと浮上するだけ。水深10mぐらいのそこで、ぼくは握りこぶしぐらいの大きさのヤドカリを見つけた。最初はそれを見間違いだと思った。あるいは、岩の下にカニが潜んでいるのだろうと思った。そのサイズのオニヤドカリが伊豆にいるとは思えなかったからだ。そのヤドカリらしき謎の生物の写真を何枚も撮っているうちに、みんなからはぐれてしまった。
どうせ後は浮上だから、まあいいっか・・・・・・と思ったのだが、実は内心あせっていた。うまく水面で会えなければ、そくざに海上自衛隊など関係部署に連絡が入り、大々的な捜索が始まる。
水中を探しまわらないのが原則なのだが、だめもとでブイのロープまで泳いでいったら、その向こうから前岡氏がこちらの行動をじっと観察していた。
見えてんのなら、水中ベルをならしてよ。この水中ベル。チリンチリンと結構音が響き渡る。これ以外にも音がするのは水中ホイッスルやタンクをカンカン叩く道具、それから名前がわからないがエアを噴出させてブイブイ言わせる緊急アラームもある。このブイブイはK子さんがエアの残圧をチェックするときに、アイコンタクトしないダイバーに向かってよく鳴らす。
ブイブイ言わせてるヤツ・・・・・・それはぼくのことだ。そして、この一件以来、幸いなことにぼくは慶子さんチームに出戻りとなった。

「ダイビングは癒しではなく冒険だ」 これは、カズさんの口癖。
海は常に危険をはらむ。沖に向かって流れる強い潮の流れ(リップカレント)や、深遠の海の底に引きずり込もうとするダウンカレントがあったりする。しかも、カレントは時間によって刻々と変化する。強い沖出し流などに巻き込まれたら、地上への無事の帰還は運だけが頼りとなってしまう。
だから、よっぽど潜り込んで勝手を知った海でない限り、その海をよく知るダイビングインストラクターの引率にしたがって潜るのが安全だ。
ダイバーは、安全にダイビングできるように海況に応じて立てられた潜水計画に沿って、ガイド役のインストラクターの後を迷子にならないようにくっついて潜ることになる。
ダイビングは、2人一組のバディシステムをとることを前に書いた。緊急の際には、バディ同士が助け合ってエア切れなどの危機を乗り切る。したがって、潜っている最中は、バディがいつも見える位置にいてくれると助かる。

ぼくが好きなポジションは、インストラクターとバディを同時に斜め後方から見下ろせる位置。マスクをしていると視界が一部さえぎられ、視野角が狭くなってしまう。だから、イントラとバディをひと目で見渡せる後方上部のポジションが好みだ。ただし、このポジション。必然的に前方下を向いている時間が長くなり、前方の中層をゆうゆうと泳いでいるウミガメを一人だけ見れなかったりすることがある。また、イントラが指し示すレアな魚の写真を撮る際には、イントラとバディの間にうまく入り込むテクが必要。
イントラの上層は、流れが比較的強い場合があったりする。フォローの流れに乗って、フィンをキックせずにイントラの後ろを付いていくこともできるのだが、このとき急には止まれない。ときどき振り返って後ろを確かめるイントラを追い越してしまいそうになってあわてることがある。
ドライスーツの吹き上がりからのリカバリーの要領で、イントラの視界範囲まで逆戻りするのだが、一人だけみんなと体の向きが違うので、イントラから怪訝な顔をされることが多い。

イントラによっては、バディと平行に並んだ隊形や、一列縦隊の隊形を要求される。並列の場合は、バディが視界に入らないため、定期的にバディを探すことが必要であり、また、一列縦隊の場合は、バディのフィンしか見えてないことが多い。また、前を行くバディによっては、マスクをしょっちゅう蹴られたり、砂を巻き上げて視界不良になったりで、潜っていてストレスがたまることがある。
一列縦隊のメリットは、アゲインストの強いカレントの場合、ズルして海底を四つんばいで進めることぐらいだろうか。キックだけよりも楽に進むことができる。

10月の連休に雲見で滞在中、一人のインストラクターが誕生日を迎えた。
こんなとき、相手が女性の場合は、年齢に関するボケをかますのは簡単だ。10歳よりも年齢が高い女性に対しては、いかなる高齢であっても
「18歳でしたっけ?」
「そう♪(ハートマーク)。・・・・・・んなわけ、ねえだろっ」
と、お決まりのボケとツッコミで会話が弾む。むろん、実年齢が離れていれば離れているほど、効果的なボケとなる。
まあ、15~16歳の女の子に対しては、「18歳?」と聞くのは問題があるかもしれないが、tetujinにはそんなシチュエーションはまずないから、はじめから除外している。
第一、15~16歳というあの頃の年齢からしてみれば、2~3歳なんて誤差範囲のうちだ。ところが、20歳を過ぎると、この差がシビアなものとなってくる。
仮に22歳の女性に「23ぐらいっすか?」なんて聞いた日には、即、地雷を踏んで爆死を覚悟しなければならない。

ところが、相手が男性の場合は、これが結構難しい。あまりにも若い年齢を口にして聞くのは、相手がバカされていると思うだろうし、もちろん、実際の年齢よりも多目の歳を口にしてしまった場合には、相手を傷つけることになり、しゃれにもならない。
したがって、たいていの場合、年齢に関するジョークは、よほど気をつけなければならないもののひとつだ。

ぼくは、くだんのイントラに向かって言わなきゃいいものを
「26歳でしたっけ?」とやってしまった。実は、上に書いたボケの鉄則、できるかぎり実年齢よりも若く、しかも、バカにしていると取られない年齢を注意深く選んだつもりだった。
ところが即座に「27歳です」とあっさりした返事。
これにはヒヤっとした。思いっきりボケをかましたつもりで、実年齢に近いところを言い当ててしまった。こういうときは、<前から年齢を知っていたんだよ>という顔でごまかすしかないだろう。<ウソォ・・・・・・若く見える>なんてフォローしても白々しいだけ。
・・・・・・年齢不詳のダイバーたち。本当に歳の話は難しい。
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テーマ:ほとんどノンフィクションストーリー - ジャンル:小説・文学


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