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ナイフで切った夏
昔のPARCO のキャッチコピーにあった「ナイフで切ったように」、季節が変わった。あの年の夏の終わりもこんな感じだった。
まるでスプレー缶が空になるように、さまざまな思い出をはき出していた夏は過ぎ去り、一足飛びに秋を飛び越して枯葉が舞う冬がやってきたような印象を僕に与えた。

ー大道芸人になりたいー
そう言ってユウカは、かばんから取り出したボールでジャグリングした。その見事な手さばきに、僕は机に腰掛けたままあっけに取られて、他のみんなはもう下校してがらんとした教室を見渡した。ストリートで大勢の観客が拍手する姿が目に浮かんでは消えていった。
ユウカに誘われて春先の横浜大道芸を一緒に見に行ったのは、それから間もなくの頃だ。野毛はもちろん、他にイセザキモールと吉田町地区、馬車道通り、赤レンガ倉庫やクイーンズパークまで足を伸ばして、僕らは日が暮れるまで大道芸のパフォーマンスに見入っていた。
僕らは、よく旧東横線高架下も散歩した。まわりの恋人たちが湘南やら横浜に繰り出したり、校舎の裏で唇を重ねあうのと同じ理由だった。高架下のウォールペインティング。そこには、音楽やポップカルチャーがあふれていた。
バスキアやキース・へリングが牽引した80年代のグラフィティアートのムーブメント。ペインティングの世界は、抽象絵画の模索を続けていた。高架下のグラフィティアートは、表現力への無数の実験の痕跡や音楽的なメディテーションを想像させ、アメリカへの大きな夢をはぐくませた。僕らは街中を歩きつかれると、よく冷えたペプシを手に道端に座り込んでいつまでも夢を語り合った。笑ったり怒ったり、時々には泣いたりもしながら。
その年の夏が「ナイフで切ったように」終わりを告げ、僕らのムーブメントは終焉を迎えた。枯れ葉舞う冬空の下、僕らの影が冷たい地面に伸びていた。それが僕にとって忘れられない季節となった。あの18歳という季節を巡る恋の想い出は、昇華も消滅もせずに今も僕の胸にある。冬枯れた街並みを見れば、今でも時々ユウカのことを思い出す。そんな時僕は、ユウカに教わって覚えたブレークダンスを無意識に踊っている。

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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学


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