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理系が書いた怪談
「ニュートリノという粒子をご存知かな。ニュートリノは強い相互作用と電磁相互作用がなく、弱い相互作用と重力相互作用でしか反応しないんじゃ。 ただ、質量が非常に小さいため、重力相互作用もほとんど反応せず、このため他の素粒子との反応がわずかで、透過性が非常に高いのは知っている通りじゃ」
「で、御茶ノ水博士。それと幽霊とどんな関係が?」
「透過性が高いから、壁でも何でも通り抜けられるんじゃ。それに質量も、ごく僅かとはいえある。したがって、あたかも人間の脳の働きと同じように素粒子の配列を利用して記憶することも、わずかに物理作用を及ぼすことも可能なんじゃ」
「ということは、空気を震わせて音を出したり、光を発したりできるってことですか?」
「そうじゃ。それが幽霊とかお化けの正体なんじゃよ」
頭の天辺あたりが禿げた御茶ノ水博士の格好をした幽霊は、オレにそう告げた。いや、博士によると、正確には恨みを持って特定の人物に対して出現するのが幽霊で、誰の前にでも出てくるのがお化けという。そして、それは、ニュートリノをはじめとしたアクシオン、超対称性粒子など素粒子の塊によるものらしい。つまりは、謎のエネルギー体ってことか。
こうした目に見えない微小の素粒子は、超新星の大爆発などで宇宙空間に放出されるのは知っているとおりだが、流星雨など流れ星が空気との摩擦で高温となって生成したプラズマ粒子などからも飛び出すらしい。毎年夏に降るペルセウス座流星雨で放出された素粒子が、どういう因果か、はてまたどういう力作用か、思念のエネルギーにより駆り集められて幽霊を形成するとのことだ。

「幽霊の運動エネルギーは、どこから供給されてるんです?永久機関じゃあるまいし、外からのエネルギーがないと、いつかは運動が停止するんじゃないですか」
「良い質問じゃ。我々は、外部の温度を利用して運動を継続してるんじゃ」
博士はニコニコ満足しながら答えた。
「だから、博士が出てきたら、部屋の温度が下がったんですね。涼しくなって、気持ち良いと思ってました」
「なんなら、もっと温度を下げようか?」
オレはなんというお化けに捕まっちまったんだろう。部屋でDVDを深夜まで見ていて、さて、寝ようと部屋の電気を消したら、あたりがぼーっとした緑色の光に包まれて。気がついたら、光の中にお茶の水博士が立っていた。それなら、まだいい。お茶の水博士のお化けや幽霊の正体はなんぞやという講義が始まって、もう、かれこれ2時間は経つ。いい加減、睡魔が襲ってくる。

「で、御茶ノ水博士。その格好だと、なんか恐さってものが感じられないんスけど・・・・・・」
「どんな姿が望みなんじゃ?」
「どんな姿にもなれるんスか?例えば、女優の藤澤恵麻ちゃんとか・・・・・・」
と言うが早いか、お茶の水博士の姿はかげろうのようになって、みるみるうちに若い女性、つまり、藤澤恵麻ちゃんが目の前に現れた。
「・・・・・・」
「きゃーっ」
「痛てえ。なにもグーで殴らなくても」
「だって、スカートをめくろうとするんだもの」
「いや、中がどうなっているのか確かめたくて・・・・・・」
「エッチ!」
「っていうか、幽霊って物質を通り抜けるんじゃなかったけ。なんで、パンチが鼻に当たるんだよ?」
「素粒子の密度を上げれば、ソリッドになるのよ」
「都合のいいときだけ、固体になるんだなあ。ところで、恵麻ちゃんの姿じゃ、ぜんぜん恐くないや。っていうか、この記事は10行怪談のつもりで始めたんだけど、もう、30行以上いっちまってる。長いと、読者は読んでくれないんだよ」
「どうしろっていうの?」
「もっと、簡潔に幽霊っぽく、めちゃくちゃ恐い姿にはなれない?」
「もっと幽霊っぽく?わかったわ。調べてくるから、ちょっと待っててね」
そういうと、藤澤恵麻ちゃんの格好をした幽霊は壁をすり抜けて外へ出て行った。

この先、なにか良くないことがオレの部屋で起こりそうな気がする。せっかく幽霊の格好をして出てきたにもかかわらず、ぜんぜん恐がってあげなかった。きっと、あの謎のエネルギー体は、意地でも究極の幽霊の姿をどっかから探し出して、また部屋にやってくるに違いない。たかが虚像とは思っていても、悲惨なグロを見せ付けられたらへこむ。
恐いもの見たさの気持ちと、トラウマになって忘れられない夜になったらどうしようという気持ちが半分半分だった。しかし、オレは、面倒を恐れて、そいつがまた来る前に部屋から逃げだすことにした。
ということで、だれか、今晩、オレを泊めてくれないか?粒子の配列を変えておどかしたりしないから。

おしまい

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