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tetujin282828

Author:tetujin282828
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お地蔵さんの秘密
大晦日の賑わいを見せる新横浜駅前。最高気温5度という寒空の下、配ったティッシュの数は、なんと500個。テレクラのティッシュ配りとは違うくて、あのCMでよく踊ってるやつ。某消費者金融。友達のお姉ちゃんが正社員で頼まれた。単発のバイトって個人的にすごく好き。日雇いみたいだけど。でも格好がかなりやばかった。まるでサンタがギャルになったような真っ赤なジャンパーに、パンツ見えそうな真っ赤なミニミニスカート、その上真っ赤な帽子。でも、そう言う格好をするだけで、ティッシュの売れ行きがとても良くて驚いてしまった。昼前に配り終えてしまったバイトの帰り道。

今年初めてといえる寒波で、予報では午後から雪になるらしい。長光寺前で右折して坂を登り、宮ノ下の交差点を過ぎて幼稚園の前を通りかかる。道路に面したところにある小さなお堂。中に右手に杓を持った錫丈を持った小ぶりの石地蔵さんが立っている。お地蔵さんの前には誰があげたのか栄養ドリンクのビン。手前の花瓶には枯れてしまった花がそのままになっていた。もう、長いこと誰もお参りしていないのかもしれない。帰宅途中、時々、このお地蔵さんに手を合わせるけど、勝手にこちらの都合でお参りされるほうも大変かなと想い、最近は感謝だけにしている。自分のお願いはしなくなった。お願いは、近所の神社の初詣の時だけ。願いを叶えてもらえるよう、いっぱいお賽銭をあげて。
今日も足を止めてお地蔵さんに手を合わせた。よく見ると近所の子供たちのいたずらだろうか。お地蔵さんの顔に白いチョークでおしろいが塗られ、目には炭のアイラインが描かれていた。しかも、寒空の下、鼻先の一部が濡れて鼻水が垂れているように見えた。どうしよう。でも、まわりには誰もいなかったので、バッグからポケットティッシュを出して顔をきれいにしてあげた。今年一年、無事に過ごせたことを感謝しながら・・・・・・。そして帰宅して、一人でゲーム。昼から降り出した雪は夜半に本格的になって、いつもなら友達と行く初詣は中止。

翌朝、玄関口で騒いでいる兄に起こされた。雪は止み、天気は回復。一面を真っ白に染めた雪は朝日にあたってキラキラ輝いていた。兄は家の玄関に”まめがき”が置いてあると言う。”まめがき”ってなんだろう。見てみたらそのままだった。銀杏のような小さな柿がたわわに実った一枝。実は熟して黒くなっていて、干し柿のように白く粉を吹いている。兄が一粒つまんで口に入れ、「うまい」と一言。それにしても、近所に豆柿を植えている家などなく、なぜそんなものが玄関に置いてあったのか不思議だった。さらにもう一つ、不思議といえば、夕べ降り積もった雪に一筋の大きな跡が。40cmぐらいの幅だけを雪かきしたように、そこだけが圧雪されてずーっと歩道の向こうまで続いている。

犬の散歩がてら、兄と一緒に雪の上に残った筋状の跡をたどってみた。歩道の上のなにかの跡は、駅の方に1kmほど続いていて、幼稚園前の交差点まで。お地蔵さんがいるお宮の4段の石段のところで途切れていた。そして、お宮の中に置かれているはずのお地蔵さんが倒されて石段の下に。
「だれがやったんだろう!?」
兄は雪を払ってお地蔵さんを抱え起こすが重くて大変そうだ。兄を手伝って、2人でお宮の中へ。
「ひょっとしたら、お地蔵さん、雪で滑って、すっころんだのかしら・・・・・・」
「バカ。お地蔵さんが動き回るわけねーべ」
兄がバカにしたように私を見た。
「冗談よ」
そう言った私に、お地蔵さんがニコッと笑ったように見えた。
白い雪でいろんな事をキレイにしてくれて、新しい年がスタートした。

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テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学


恋人がサンタクロース
12月25日 ホーリーナイト
今宵、世界中のすべての人の上に、幸せが降り注ぎますように。

その娘はクリスマス休暇を前に大失恋をした。おととしのことだ。サンタは娘に『笑顔』をプレゼントした。失恋の悲しみを乗り越えて、明るい自分自身をとりもどせるようにと。早く元気な彼女に戻れるようにと。
次の年。つまり去年のことだ。娘は新しい恋を得た。しかし、遠距離恋愛に耐えていたのは娘だけで、相手の男はクリスマスに会えない寂しさからつまらないことで喧嘩して2人は別れた。
サンタは娘に『怒り』をプレゼントした。身を切るような失恋の痛手を娘は怒りで克服した。相手に対する怒り、自分自身に対する怒り。彼女は怒ることで強い心を持った。一人で生きて行けるくらい強く・・・・・・。

サンタは考えた。 娘が幸せになるためには、何が必要なんだろうと。そして、今年は娘に『涙』をプレゼントすることを決めた。
強いだけじゃ幸せになれない。強さも弱さも、色んな心があって、だから人はステキになれるんだとサンタは思った。

クリスマスが終わって、娘は失った恋を思い出し泣いた。そして、1年前に別れた恋人の家に向かった。小さな喧嘩で別れてしまうのはイヤだと。ずっとあなたと一緒にいたいのだと、別れた恋人に伝えに行った

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学


街角にはクリスマス・ツリー
「この写真、なんだかわかりますか?」
パラグライダーの現地教習が終わってスクールにもどり、みんなでくつろいでいる時にインストラクターから見せられた一枚の写真。彼が昨年の12月24日にオーストラリアのBright近郊のミスティック山をグライドした時に撮った写真らしい。手前に膝に乗せたフロントコンテナ。バリオとGPSがそれぞれ高度と位置を表示しているのだろうが、数値はボケて良く見えない。彼の前方に広がるのは、低木の林が入り組んだ乾燥した茶褐色の広大な大地。陽炎のように揺れる地平線が傾いて写っているのは、ターンの途中で写真を撮ったからだろう。そして、その向こうには白く輝くいろんな形の積雲と青空。紫外線の影響だろうか、googleマップでよく見る航空写真のような地形が春霞のようにかすんで見える。ただ、奇妙なのは右手上空に写り込んだ光のウズだった。ぼやーとした光に包まれて、何かが空を飛んでいるように見える。
「この光はなんすかね?フレア?」
逆行などの強い光によって写真が白っぽくなったり、光がにじんだりしたものを「フレア」と呼ぶ。レンズの表面で反射した光が、レンズ内部やカメラ内部で複雑に反射することにより「フレア」が生じる。だが、写真の手前に写っている膝やフロントコンテナの影のでき具合を見ると、どうも、写真は太陽を背にして撮られたもののようである。だから、写真にフレアが出るはずはない。
しかも正体不明の光のウズをよく見ると、左右対称になっている。ちょうど、ジャンボジェット機の翼の後ろにできる翼端流のような感じだ。ただし、そのウズがかなり乱れているのは、およそ航空力学を無視した形状の「なにか」が飛んでいるからとしか思えない。
「この日は、朝から晴天で絶好のコンディションだったんだ。山頂よりテイクオフを行い、問題なくテイクオフ上空の雲底につけた。高度は約2300m。それから、10kmはクラウドストリートに乗っかって。ちょっとサイドの風は強かったんだが・・・・・・。
この光のウズは150マイルぐらいの速度で追い越していったんだ。それから、数分後に標高1700m地点でちょっと気を緩めた瞬間、(キャノピーが)70%潰されたんだ」
とインストラクターは説明した。

パラグライダーで飛んでいて、キャノピーが潰されるのはよくある話だ。乱気流が原因だったり、頭上のキャノピーが体を追い越して、リーディングエッジのインテークから空気の取入れが悪くなった時にキャノピーの内圧が低下して潰れが起こる。インストラクターの腕前を考えると、ブレークコードの操作ミスは考えづらいから恐らく乱気流に巻き込まれたのだろう。
「それって、ひょっとして、スキー場で有名なペリシャー・ブルーあたりで遊んでいたトナカイが、クリスマスの仕事しに大慌てで北に帰る途中だったのかもしれまんよね」
ぼくは茶目っ気をだして答えた。150マイル(240km/h)で飛行する物体が金属以外の物質でできているはずはない。だから、高度3000mぐらいのところを何かが飛べば、偵察衛星のみならず航空機監視用レーダーに捉えられ、未確認飛行物体として大騒ぎになるはずだ。ただし、空飛ぶトナカイとかであれば、金属じゃないから電波を反射せず、レーダーに映ることはない。・・・・・・もちろん、あり得ない話だが。
ぼくの言葉に、インストラクターとオーストラリアツアーに参加した上級者たちはあきれて顔を見合わせた。冗談がスベるかもと予想していたが、よりによって、最悪なことを口走ってしまったようだった。
「冗談ですよ。じ ょ う だ ん」
あわてて否定するぼくを、インストラクターが厳しい目でにらんできた。そして、その話はそれっきり。だが、彼らもいまだに写真に写り込んだものが何なのか、突然の乱気流発生の原因もあわせて答えが見つかっていないようだった。

あの時、ブレークコードをしっかり当て込み、絶対に潰されないようにウエイトシフトしながら、目の前のマップケースからメモ用紙がひらひら飛んでいく最悪な状況の中、必至で操作していたインストラクターの耳に届いたのは<ホン、ホング>という泣き声。ドップラー効果により、抜かれざまに音階が変化していった。そして、突然の乱気流。やっぱり、あの時に空を飛んでいたのは・・・・・・。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学


ジングルベルの鈴が鳴る(1)
Jingle, bells. Jingle, bells. Jingle all the way !
Oh, what fun it is to ride, In a One horse open sleigh !!

クリスマスソングとして有名な『Jingle, Bells』は、1857年の9月16日にJames Lord Pierpontによって『One Horse Open Sleigh』という題名で米国のボストンにある日曜学校の感謝祭の式典のために作られた歌であって、クリスマスソングとして作られたものではない。題名のJingle bellsも、りんりん音がする鈴の音を意味するものであり、雪の中を1頭のウマが曳くソリに乗って楽しむ様子を歌った単なる冬の歌だった。そんなこの歌の経歴に関係なく、この曲を耳にした誰しもが、「ああ、クリスマスが近いんだな」などと思い心が弾んでしまうものだが男は違った。この曲を耳にするたびに、ひどくつらい気持ちになった。男はクリスマスが苦手だったのだ。
「うちはクリスマスもサンタもないからな」
彼は小さい頃から子供にそう言って聞かせた。だから、遠慮しているのか子供はクリスマスに何も欲しがらない。ただ、クリスマスが近づくと寂しげな顔つきになり、夕げの食卓で目を合わせることがなくなった。そんなことも煩わしく、彼をいやな気持ちにさせる一因でもあった。

この時期になると、通りの街路樹はオレンジ色のイルミネーションに彩られ、どこからともなくクリスマス・ソングが流れてくる。仲良さそうに寄り添うカップルたち。どいつもこいつも浮かれやがって・・・・・・。
月末の仕入れ代金の手形払いに行った銀行からの帰り道。足早に駅前の喧騒の中を歩いていると人にぶつかりそうになった。大きな袋を抱え、サンタクロースの衣装を身にまとった男だった。顔中が真っ白なひげで覆われていて、若いのか年寄りなのかその男の年齢はさっぱり見当がつかない。サンタクロースの格好をしたその男は笑顔でチラシの紙を差し出してきた。どうせ配るならティッシュにしろよ。いつもなら、差し出されたチラシを無視するのだが、どっかの店のバーゲンの宣伝かと思い直して黙ってひったくった。サンタクロースの男は、とびきりの笑顔で会釈した。ジロリと男はにらみ返した。だが、なぜか、サンタクロースの男の笑顔を見て懐かしいような気がした。

もうとうの昔に亡くなった男の父親は、商店街の一角にある小さな本屋の店主だった。当時、古マンガ本を買い求める学生たちがたまに来店はするものの、一冊の売り上げ利益があまりにも小さすぎて店の景気はてんでふるわなかった。赤字がかさむ一方で、店もつぶれそうだった。だから、早朝から酔っ払いたちが冷やかしに来る深夜まで、店を開けて客を待った。小学校にあがって間もない彼の息子(つまり、この物語の子供の頃の主人公)を思い浮かべると、週末ぐらいは一緒にいてやろうと思うのだが、生活のためには店を閉めるわけにはいかない。男の父親は来る日も来る日も年中無休で売れない本を売って働いた。
そんなある日、男の父親は来ない客を待って店のレジの前でつい、ウトウトまどろんでしまった。そして、そのまま帰らぬ人となった。原因は足元に置いた練炭。一酸化炭素中毒だった。30年前の昨日。クリスマス・イブの前日のことだった。

毎年、クリスマスが近づくと、男は亡くなった父親のことを思い出してしまう。男は当時の父親に近い年齢になった。父親の店を引き継いだ母親が引退し、その後は男が経営していた。店を受け継いでから、男は父親の気持ちが痛いほどわかるようになった。家族のために店を守る・・・・・・。男は気づかないうちに、彼の父親の生き方をトレースして生きているのだっだ。
<今日はクリスマス・イブか・・・・・・> 男はふと気になって、さきほどのサンタクロースの格好をした男から渡されたチラシを見た。それは、チラシではなかった。古ぼけた一枚のクリスマス・カードだった。プレゼントを抱えたサンタクロースが描かれたその絵柄は、ひどくレトロな感じがした。カードを開くとそこには、古ぼけたインクの文字。どこかで見たような気がする手書きの几帳面な文字が並んでいた。
『メリー・クリスマス。いつも見守っているよ。だからがんばれ。文男へ』
男は、なぜ、自分の名前がそこに書かれているのかわからなかった。だれかが亡くなった父からのクリスマスカードを偽造して、物陰から男の反応を見て楽しんでいるのだろうか・・・・・・。あわてて周りを見渡したが、どこにも、どっきりカメラがありそうな気配はない。男は、さっきのサンタクロースがチラシを配っていたところまで引き返した。<ヤツを捕まえてとっちめてやろう。冗談がすぎる> しかし、サンタクロースはもういなかった。男はその古ぼけたカードをもう一度見た。そして、呟いた。
「親父か・・・・・・?」
男は狐につままれた思いで、その場に立ち尽くした。そして男はいつか映画で見た古いアメリカ映画を思い出していた。映画では、落ちこぼれの天使が案内する“もし彼が生きていなかったら”という仮定の世界で、主人公は自分の存在理由をかいま見て人生の素晴らしさに気が付く。<・・・・・・落ちこぼれの天使?>
男はこれまで奇跡など信じることはなかった。だがこの時はこの広い世界で、見習いのどんくさい天使が一人ぐらいいてもいいかと思いはじめていた。男は、腕時計を見た。7時だった。<クリスマス・イブか!> 男は帰って今日はもう店を閉めようと思った。俺にはかけがえのない家族がいる。家族のもとに帰ろうと。街角にはジングルベルが鳴り響いていた。

おわり


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